【完】淡い雪 キミと僕と


「それに、大輝さんはお母さまによく似てらっしゃいます」

「わたしと、あの子が…?」

「えぇ、大輝さんはわたしにも優しい瞳を向けてくれます。その目がとてもよく似ています。
それに性格が不器用な所も似ているかも…。わたしは彼の不器用な中にある優しさがとても好きです」

そこまで言えば、彼女はにっこりと微笑んだ。あの優し気な瞳で。

「大輝に美麗さんのような素敵な女性がいてくれて、良かった…。
けれどあの子の祖父は……」

笑った後に不安げな表情を浮かべた。

彼女は1番にあのおじい様の事を理解しているのだろう。何十年も、あの横暴な態度の前に晒され続けたのだから。

痛い程、わたしの気持ちが理解出来る人には間違いない。

無言のまま首を横に振った。

「わたしは平気です。一度お会いしましたし、わたしの事が気に入らないのは直ぐに分かりました。
当然でしょう。会社の事を思ってならばわたしより大輝さんに相応しい人はこの世に沢山います。
…けれど、わたしは彼がわたしを必要としてくれるのであれば、そこは退くつもりは一切ありません」

その言葉にホッと胸を撫でおろしたかのような、母親の顔をしたんだ。

「美麗さんは強い人ね。わたしとは大違いだわ」

果たしてわたしは強い人間だっただろうか。

どちらかと言えば、弱い人間なのだと思う。周りの目ばかりを気にして、見た目ばかり取り繕って、なのに中身は空っぽで

港区で遊んでいた頃、何度も虚無感を感じていた。お金や権力を前にして、誰に好かれたとしてもそこにあった心の空白は、拭いきれなった。

どこまでも遊びきれなくて、中途半端だった自分。