そういう事だったのか。
彼女は両手で顔を覆って、酷く傷ついた顔をしていた。あの時の西城さんと同じ顔。
言葉は人を包み込む毛布になったり、時には人を傷つけるナイフにもなり得るものだから。
そして言った側も言われた側も、傷つく事がある。
「わたし…あの子に嫌われている事は分かっているの。当然よ。それだけの事をしてきたのだもの。
けれどどうしてもあの人に似ているあの子に見つめられたら、責められているような気になってしまって…」
「それは…違うと思います」
わたしの言葉に彼女はハッと顔を上げた。
親子揃って傷ついた時は子供のような顔をする。
やはり、彼女と西城さんは似ている。西城さんのお父さんが彼に似ているとは全く思わなかったけれど、彼女の瞳は彼によく似ていたんだ。
「大輝さんは…あなたの事が嫌いな訳ではありません。
いえ、親を嫌いな子供なんていないと思うんです。
彼はいつだってお母さまに受け入れて欲しかったんだと思います…。でも彼も素直な性格じゃないから、人に甘える事の出来ない人です。
だからこれからは沢山話して下さい。話せばわかる、なんて甘い話じゃないかもしれないけれど、きっとお互いに誤解してる部分も多いと思うんです。
時間が解決するって話でもないけれど…大輝さん自身はお母さまがずっと大好きだったとわたしは思うんです」
彼女の目の縁が僅かに赤くなっていた。



