【完】淡い雪 キミと僕と


やはりロビーのオブジェも最高だったし、所々に手造りされた置物や絵も、どうやら西門さんの作品らしい。彼のサインが書かれている。

決して大きい施設ではないが、すれ違う従業員は皆足を止めて、こちらを見てにこやかに挨拶をしてくる。素晴らしい教育だと思っている。

’お客様第一に’客商売ならば、当然だ。けれど、企業は大きくなるにつれ、それが難しくなってくる。目先の金や、事業を大きくする事しか考えられなくなる。

西城グループが正にそれだ。父が造りたかったホテルというのは、この夢かぐらのようなホテルなのではないのだろうか。



夕ご飯も、とても美味しかった。

コース料理ではあったが、料飲の若きスタッフがひとつひとつ料理を丁寧に説明してくれて、北海道産の海の幸や山の幸を使った見事な料理だった。

何よりも食材ひとつひとつが新鮮なのがよく伝わった。手間暇をかけた料理に、目の前の美麗は幸せそうに笑い「んっまぁ~」と頬を膨らませた。



大浴場も実に素晴らしかった。

地元のお客さんでも日帰り入浴で利用出来るらしく混みあってはいたが、混みあう理由も分かる気がする。

フロントでじーさんばーさんがたむろしており、フロントマンはまるで友達に話をかけるように気さくに話を掛けていた。

忘れかけていた事を、思い出せるような光景だ。

美麗は食事の後も大浴場でお風呂に入ると駄々をこねるので、俺は一足先に客室に戻る事にした。

今日は、クリスマス。美麗にとあるサプライズを仕掛けようとしていたからだ。