【完】淡い雪 キミと僕と


「確かに私もその場にいたかと思います。
けれど大輝くん、君はその質問をして、それに答えてくれたのは、西城さん…君のお父さんだった筈だ」

「父が……?」

あの父が?そんな事を?

’わたし達の仕事は出会えたお客様に自分の出来る限りのおもてなしをし、安らぐ時間を与えるものだ。
そしてお客様にとってもここで過ごした日々がかけがえのない記憶になって、いつか思い出した日にポッと心に灯るような優しい思い出になっていて欲しい。
わたし達の仕事はそんな素敵な仕事なんだよ’

とてもじゃないけれど、そんな言葉を言うような人とは思えなかった。

「そうです。西城さんはホテル業界の事は熱心に勉強していた人だからね。それは僕も目を見張るほど。
あんな大きなグループの息子でありながら、どうやったらお客さんを第一に考えれる経営者になれるか、といつも悩んでいたように思える。
そんな西城さんから教えて貰う事も沢山あってね、若かった僕が今の信念を持って夢かぐらをやっていけてるのも彼の存在があったからと言っても過言ではないよ」

「そんな…父は…」

俺の中のイメージは、そんな人では決してない。

どちらかと言えば、業界に関しては興味なく、西城グループを継いだのだって、息子だから仕方がなくと感じていた。

ホテル業界に強い思い入れがあるようには到底思えなかった。

戸惑いの表情を見せていただろうか、西門さんは優しい眼差しのまま答えた。