【完】淡い雪 キミと僕と


旭川空港から夢かぐらまで、車で約20分。

旅館の人間が、空港まで迎えに来てくれた。地方からいらっしゃるお客様には送り迎えのサービスをしているらしい。

ワゴン車の運転手は、よく喋る人で、近郊の話を夢かぐらに着くまでにしてくれた。

すっかりと泣き止んだ美麗は車の窓から、何度も’すごい’と言ってどこまでも続いていくような雪景色に惚れ惚れしていた。すっかりとご機嫌も直ったようで、こちらに向かって笑顔を何度も見せてくれた。

やっぱりその笑顔を見て、何度もごめんと謝りたい気持ちになった。



夢かぐらは、決して大きな旅館ではない。どちらかと言えば小ぢんまりとしている、風情のある旅館だった。

柔らかい木造の造り。綺麗に掃除された玄関前。中に入ると、フロントの従業員が元気よく笑顔で挨拶をしてきた。

誰も彼も、良い顔をして働いている。それが第一印象だった。フロントの隣にあるロビーには、はるか昔に見た記憶がある支配人手造りだと言っていたオブジェが飾られていた。

手造りとは思えぬほど、クオリティーが高い。

「すごいね、これ」

「あぁ。すごいな」

「それに雰囲気も素敵ね。わたし好きよ、こういうの」

と美麗が言ったら、何故か腕を絡ませてきた。その行動には驚きだった。

普段は余り甘えてもこないし、どちらかと言えばツンケンしている癖に、手を繋ぎ決して離そうとはしないのだ。たまにはこんな美麗も良い。