菫が説明を始める。資料に目を通すと、よく出来ている。
確かにうちのホテルには余りなかった感じのお店だ。今最も売り上げを伸ばすレジャー関係のホテルは家族連れやカップルの客が多い。
そういった客にはウケる。よく考えた、素敵なお店だ。女性目線で考えた、とてもよく出来ているお店だと思う。
菫は、仕事に関してはとても真面目だと思うし、そんじょそこらのお嬢様とは思えないほど、しっかりとしている。自分の仕事にも自信を持っているのだろう。
けれども…
これじゃあ、俺が彼女と打ち合わせをする機会が増え、嫌でも顔を合わせないといけない。
誰かに投げ出したい案件ではあったが…祖父が決めた事は絶対だ。
まさかこうやって関わらなくてはいけない事に、ため息が止まらなかった。
けれど菫の作ろうとしているお店…。美麗はとても喜びそうだ。ロマンチックや可愛らしい物が大好きな女だ。こんな因果な繋がりがなければ、連れて行ってあげたい所だったが…
会議が終わり、会議室からそそくさと出て行こうとした瞬間、菫に捕まった。
「大輝さん、よろしくね」
「あぁ、こちらこそ…。」
「大輝さんと一緒に仕事が早速できるなんてとても嬉しいわ。
ねぇ、一緒にお昼でも食べない?仕事の話でしたい事もあるし」



