「しかし…隣町に有名な動物園があるそうだ。
喜べ、ここは冬でもやっている」
「動物園ッ?!」
さっきまで肩を落としていたかと思えばそのワードを聞いただけで顔を上げ、瞳をキラキラと輝かせる。
…全く喜怒哀楽が激しく、けしからん。
俺の携帯を奪いとり嬉しそうにはしゃぐ姿を見て、可愛いとは思わざる得ないが。
「知ってるわ!映画で見た事があるの。有名よね?!
西城さん、ペンギンのお散歩が見れるそうよッ?!シロクマもいるみたいッ。もぐもぐタイムなんてのもあるらしいのよッ。
雪の中の動物園なんてのもロマンチストよね?」
「あぁ…まぁ…そうだが…」
「楽しみだわ。すごーく楽しみ…。
レッサーパンダもいるのね、わたしすごく好きなのよ。可愛らしいわよね?」
レッサーパンダを可愛いと言う、君の方がよっぽど可愛らしい。
言葉にする前に美麗をぎゅっと抱きしめていた。
「西城さん…?」
「美麗は…とても可愛いな…」
「何よ、突然……」
アンタはきっと知らない。
何気ない瞬間の自分が、どれだけ可愛いのかを。
そんな無防備な姿は、俺以外の前では絶対に見せないで欲しい。誰だって君の可愛らしさに惚れてしまう。
だから絶対に、そんな姿を他の人間の前で晒すな。人前では出来るだけ港区女子のような装いの女でいろ。
可愛い姿は俺の前でだけ見せていれば良い。アンタの可愛さは俺だけが知っていればいい。
その夜は、会えなかった時間を埋めるように美麗を抱いた。何回抱いても、美麗の身体だけは全く飽きる事なく、それどころか愛しくなる一方で
早く早く一緒に暮らせる日を願わずにはいられなかった。帰る場所はいつだって一緒がいい。彼女も同じ気持ちでいてくれたらいいのだが。



