「本当にこんなウサギ小屋でいいのか…?」

部屋の内見を頼んだ不動産屋はその言葉に少しだけ眉をしかめ、美麗は頭を強い力で叩いた。

「どこがウサギ小屋よッ。いいじゃな~い。広くて素敵。造りも可愛らしいし、何より西城さんの望んでいたセキュリティーもばっちしだしね!」

「そうか…アンタがいいのならば俺は全然良いんだがな。」

「それに部屋が2つあるから、アンタとわたしの専用部屋があるわッ。プライベートも守れていいじゃない」

「ハァ?!何を言っている貴様。寝室は一緒だ。もうひとつは雪の部屋にする」

「そうなの?!だって…それぞれの部屋があった方が西城さんもひとりでゆっくりしたい時いいかなぁって思って…」

「ふん。余計な気ばかり回すな。俺はひとりでゆっくりしたい時などない。アンタと一緒にいる時は常にくっついていたいぞ…?
アンタは…違うのか…?」

「わたしはどっちでもいいけど……」

何だよ。そのどっちでも良いって。俺は基本的に、アンタとはいっつも一緒にいたい。

それなのにアンタときたらどっちでもいいとは酷くないか…?

それに一緒に居たいと思わんと、同棲など絶対にしない。これだから薄情な奴は…。



不動産屋はニコニコと張り付けられた笑顔で「いかがなさいますか~?」とダラダラと部屋の特徴についてなんか説明し始める。

美麗はそれをウンウン、と真剣に聞いていたが、そんなものはどうでも良かった。

寧ろここが気に入ったのならば、決めてしまおう。と半ば強引に契約をした。