【完】淡い雪 キミと僕と


美麗は牛丼の袋をテーブルに置くと、真っ先に戸棚を開けて雪へとご飯をあげる。

食べる前、少しだけ美麗を見上げる。’ありがとうございます’とお礼を言っているように、それに応えるかのように美麗の瞳に微笑みの明かりが灯る。

俺は、そんな雪と美麗の互いを見つめ合う瞬間が、とても好きだしそれを見ると心が和んだ。

雪が食事をする傍ら、俺たちも一緒に牛丼を食べた。やはり余り食欲のない俺を美麗は気にしていたが、元々小食だ。とその心配は振り切った。

いつもと何ら変わりのない日常。けれど頭の片隅。菫の事は消える事は無かった。

「ちょっと、入って来ないでよ」

「ケチだな。いいじゃないか。毎日共にしている事だ。」

「狭いし、ゆっくり入れないんだってばぁー!西城、それでなくても大きいんだから。」


夕飯を食べ終え、お風呂に入るという美麗にくっつき、一緒に浴槽に浸かろうとしたらいつもの文句が始まった。

これは、日課になっていた。自分で思っているより俺はずっと独占欲が強い。

一緒にいる時間であれば、出来るだけくっついていたかった。それもこれも興味のある女にだけなのだが、美麗は何度だって嫌だと言い、迷惑だと突っぱねた。

けれどこれも素直じゃない彼女のいつもの事。結局最後は折れるのならば、最初から素直になっておけばいいのに。



乳白色の入浴剤からは、淡い石鹸の香りが漂う。

ふたりで入るにはせまっ苦しい浴槽で、後ろから美麗を抱っこする形で、湯に浸かる。

’触らないでよ’とこの期に及び、可愛くない言葉を繰り返す。最早素直じゃないのは病気に近い物がある。最終的には全てこちらへ委ねる癖に。