【完】淡い雪 キミと僕と


やっと玄関前にたどり着いて、鍵を回すと違和感を感じた。

あぁ…そうか、奴がいるのか。疲れているのに、誰とも喋りたくないのに、喧嘩する気力も残っちゃいないのに奴はいる。


「ただいま…
って、ちょっと!!」

家に入った瞬間。

部屋のありとあらゆる箇所の電気がつきっぱなしになっているではないか。

玄関から続くリビング、キッチン、そして何故か入っていないはずのトイレまで煌々と灯りをともしている。

リビングには、ソファーに座り込みパソコンを弄っている西城さんがいる。

体を前屈みにして、そのお腹の上には子猫がちょこんと座って、わたしの顔を見て「みゃあ」と口角を上げて鳴く。



「あぁ、おかえり。
案外早いお帰りだな。
まぁ受付つーのはそういうもんか」

「おかえりッじゃないわよ!
何でありとあらゆる場所の電気がつきっぱなしな訳?!」

玄関、トイレ、キッチン、全ての電気を消して、コンビニで買ってきたお弁当の入っているビニール袋をテーブルの上にドンっと置く。

何故か子猫が嬉しそうに西城さんのお腹でゴロゴロと動き回る。…遊んでるんじゃないっつの。

「おお、そうか悪い。消し忘れかな?」

何を惚けているのだ。

この部屋にいるのはアンタしかいないだろうが。

何を誰かが消し忘れたかな?というノリで首を傾げていると言うのだ。

このマンションの家賃光熱費を全て払っているのはわたしだ。