「凄くないか?!」
「本当…すごい量ね…。ってお土産ってこれ?」
「ああ。嬉しくなかったか?俺は小さい頃こういうお菓子は体に悪いって言われて買ってもらった事はない。
代わりに家政婦さんが作ってくれた体に良いらしい大豆のクッキーや、果物がたっぷりと入ってるようなパウンドケーキとかばかり食べていた。
子供の口には全然合わなかったが…」
あぁ。また西城さんとわたしの違い。感じたくなくとも、ひしひしと感じてしまう。
小さい頃、ママに駄々をこねて駄菓子を沢山買って貰う事なんてよくあった。小学校の頃の遠足でも、友達と決められた金額内で駄菓子屋さんに行った。
そんな普通誰でも経験する事を彼はしてこなかった。
それはつまりわたしと彼の住んでいる世界が違うという事。ふと西城さんの婚約者である菫さんの事を思い出した。
きっと彼女なら…。少しは彼の気持ちを分かり合えるのかもしれない。価値観は分かり合えたほうが絶対良いと思う。
小さい頃大好きだったカラフルな色をしたラムネは口に含むと何故か、途端に味気のない物に思えてしようがなかった。
そんな変化に気が付かずに、彼は子供のようにはしゃぎながら駄菓子を口にしていた。
「今日はビーフストロガノフを作ろうと思ってな」
「び、ビーフストロガノフ?また、あんまり一般家庭では作らないような料理を作ろうとしたわね…」
「そうか?この料理初心者っていう本に載っていたぞ。読んでみたところ工程は単純な物だった」
「カレーみたいなものね、きっと」



