【完】淡い雪 キミと僕と


友理奈からは連絡は一切無し。ふとラインの友達を見たら、そこに友理奈の名前はなかったから、あっちからブロックしたのだと思う。結局上辺だけは友達ごっこをしていても、わたし達はそれだけの薄っぺらい関係だったって事。

デリートひとつで、瞬間に消えてしまうような。もう考えるのは止めよう。

不思議な事に、その日の仕事は最後まで疲れも一切なく、夜になるのがいつも以上に待ち遠しかった。

「雪ーーーーーー!」

午後19時半。既に家には明かりが灯り、西城さんはいつも通りソファーに寝そべりながら本を読んでいた。

1日会えなかった雪はダッシュで玄関まで走ってきて、嬉しそうにゴロゴロと喉を鳴らした。ぎゅーっと強く握りしめ、雪のお腹の匂いを嗅ぐ。

ホッ。良かった。パパの加齢臭はついていない。

昨日の夜はパパのベッドで眠ったと言っていたから心配していた所だ。雪の良い匂いだ。何時間だって嗅いでいれる自信がある。この不思議な匂いに、何と名をつけていいかは分からない。

それにしても、雪すごく大きくなったなぁ。

そっと床に降ろして、こっちを見上げながら長い尻尾をピーンと立てているのを見て、思った。

もう、全然みすぼらしくなんかない。それどころか気品のある猫にも見えてしまう。

成長しても雪のお気に入りは、西城さんのお腹の上だった。

「おかえり、美麗――」

雪を撫でながら微笑みこちらを見つめる。不思議な事にわたしを見つめる西城さんの瞳がいつも以上に優しく見える。

たまに呼んでくれる美麗って名前の響きも近頃は好きになってきた。

けれどここでニヤケた顔をしてはいけない。あくまでもクールに、無表情に、気が緩むと一気にニヤニヤしてしまうだろうから、気を引き締め直した。