確かにお世話になっている動物病院から去勢手術は猫ちゃんの為にしてあげた方がいい、と言われている。雪だって例外ではない。

病気のリスクなども減らせるらしいし。そしてその手術は6か月過ぎ。2キロを超えたら行ってもいいという事だった。

雪は6か月過ぎたし、体重も最近は急成長を見せ3キロに届きそうな勢いだ。多分、もうお留守番の時のゲージもいらないと思う。

「それでも、井上さんも去勢手術をした方がいいって言ってたし」

美麗のその言葉に、再び複雑な気持ちになる。何かあれば直ぐに’井上さん’いつまでも未練ったらしく振られた男の事ばかり。

「何だ、アンタまだあんな男と連絡を取っているのか?」

井上晴人は既に琴子のものなんだよ、ばぁ~か!

「連絡を取ってるも何も…同じ会社なんだから会ったら話のひとつやふたつするでしょーよ」

「話すな。見るな。近づくな。」

「ハァー?!何でアンタにそんな事を決められないといけないのよ」

「知らん。俺はもう寝る!話かけるな!」

美麗を腕の中から離して、今度は俺の方が彼女に背中を向けた。

「何よ…。アンタから話しかけてきたんじゃないの…」

何かぶつくさ言っていたようだが、それも無視。

大体井上晴人も自分から振った女に話を掛けるなよ。近づくな。見るな。言葉を交わすな。どこまで無神経な男だ。

お前には琴子という可愛らしい彼女がいるではないか。ハッ!まさかあいつマジで琴子から美麗に乗り換えようとしているのでは?大人しく見えて何こそするか分からん男だ。

と、いう冗談はさておいて。