「とても話も合うし、明るくて優しくて、よく笑う人だ。
お嬢様だというのに仕事もよく出来るって話だし」
「へー完璧な人間もこの世にはいるもんだね」
わたしとは、正反対。
西城さんと話し合わない(雪の事は除く)実は明るくない。優しくもないし、普段は全く笑わない。お嬢様でもないし、仕事も適当。
彼と菫さんはそんなにお似合いならば、さっさと結婚でもしちゃえばいいのに。別に遅くはないだろう。西城さんの年齢なら。
「でも、何か違うんだ」
「何かって?」
「全く、好きじゃない」
その言葉に、心のどこかで安心している自分がいる。
あーだからだと言うのだ!なんて狭い心だ。菫さんの事を考えるのであるなら、こんな事絶対に思いつかない。
きっと千田ちゃんならば、好きな人の幸せを願える筈だ。好きな人が自分を好きじゃなくてもそれを受け入れて、素直に送り出せるはず。
ん?好きな人?
わたしとした事が、何を考えているの?
わたしは西城さんの事なんて、全く何とも思っていない…筈なのに…。
これじゃあまるで彼女と西城さんの事、嫉妬しているみたいじゃないの。
「何だ、また百面相して。アンタは相変わらず芸達者だな」
わたしはきっと変な顔をしていたに違いない。だって彼の言葉に心はいちいち動揺して
嬉しくなったり、悲しくなったり、ムカついたり。
そりゃー笑ったり、落ち込んだり、怒った顔もしてころころと変わっていったりもするわよ。
何で…わたしが…アンタの事を考えていちいち心を動かされなくちゃいけないのよッ!そんなの、不公平よ。
だってあなた、わたしの事なんてどうでも良いんでしょう?ひとりで馬鹿みたいだ。



