「篠崎菫さんと何かあった?昨日でしょ?ミュージカル一緒にいったの」
「ほう、よく知っているな。ストーカーだったか」
「違うわよ。失礼しちゃうわね。アンタがこの間電話で休日に彼女とミュージカルを見に行く事になってしまったって自分で言ってたんじゃないの。
大体何でわたしがアンタのストーカーなんてしなくちゃいけないのよ」
「分かっている、分かっている、君の気持ちは。俺が菫さんと会っていたのが気になって仕方がないんだろう?」
「だから…、人の話聞いてる?」
「菫さんとはミュージカルに行って、彼女の友人だという女優の方に挨拶をさせてもらった」
マジ?友人が女優さんなんて…。世界が違いすぎる。
普通に生きてたら女優さんと友人になる機会なんてないわよ。けれど、彼女は生粋のお嬢様だ。そりゃあわたしと取り巻く環境だって違う筈だ。
西城さんから聞く話によれば、その女優さんはただいま売り出し中の、中々有名な女優さんだからびっくり。なのに彼は実にカラッとしていて、実際に見たらテレビで見るより綺麗だったよ、と余り興味無さそうに言った。
わたしがその場にいたら「サイン下さい!」なんて言っちゃって、完全におのぼりさんになってしまいそうな気しかしないんだけど。
「そして彼女の父親が経営する日本料理店とりごやでご飯を食べた。
まぁアンタには一生縁のないような高級料理店だ」
だから、最後の一言がいつも余計なのだ。
そんなのアンタに言われなくても分かっている!
「とても美味しかった…。料理の名前はひとつも覚えていないが、どれも小難しい名前をつけてかっこつけているだけだ。」
だから、褒めてるのか貶してるのかどっちなのよ。



