「無理して食べなくても……冷蔵庫にママから貰ったお惣菜が……」
「うん。旨いよ。見た目はともかく。アンタも食ってみろ」
彼からの意外な言葉。恐る恐るべちゃべちゃの焦げた炒飯をスプーンですくい、口に運ぶ。
と、意外や意外味は本当に美味しかったのだ。食感はいまいちだが。まぁそれもその筈、だって味付けは炒飯の元だもん。
それでも西城さんは文句のひとつ漏らさず黙々と食べ進める。てっきり’まずい’とか’女の癖に料理も出来ない’と悪態をつかれるとばかり思っていた。
「本当に旨いぞ。おかわりする」
「そんな…無理に食べなくったっていいのよ。本当にわたしときたら駄目ね。女の癖にまともな料理ひとつ出来やしないんだから」
「俺が旨いと言えばそれは旨いんだ。ぶつくさ言ってないで、おかわり。大量に作ったと思われる」
そうなのだ。
分量つーもんが分かってなかった。
人参は2本使い、玉ねぎも2個使った。明らかに二人分の分量ではなかった。
フライパンの中には、まだ大量の炒飯が残っている。
それでも西城さんは、それが空っぽになる位、見た目と食感の悪い炒飯を全て食べてくれた。…絶対にそんなに食べたくなかった筈なのだけど。
そして、食べ終わった後にご馳走様と再び手を合わせ、こちらへ視線を送り少し微笑んで’ありがとう’と言った。
その素直なお礼に、別にアンタの為に作った訳じゃないからとは言い返せずに、お粗末様です。とだけ返した。
こんなに食べてくれるのならば、もっと上手に作れば良かった。もう少し練習してから、出せば良かった。わたしって本当に何も出来ない人間だ。



