「泊っていくってこと?
そうよね、仕方が無いわよね。だって飲酒運転になっちゃうし…
もしも捕まったりでもしたら、西城グループに大きな迷惑をかけちゃうものね…
でも、どうしよう」
「どうしよう、とはベッドかひとつしかない事か?」
「馬鹿ッ!」
そう吐き捨てた彼女の顔は、さっきと同じ。真っ赤になっている。
どこまでもからかい甲斐があるもんだから、もっと意地悪を言いたくなってしまうのではないか。
顔を真っ赤にしたかと思えば、うろちょろと狭いリビングを動き回り、今度は真っ青になる。アンタは妖怪七変化か…。
「俺は別に構わんよ。シングルベッドは少し狭そうではあるが」
「誰が!アンタと寝るなんてひっとことも言ってないッ!」
「何だ?アンタまさか何か期待しているとか?」
リビングをうろちょろしていたかと思えばぴたりと足を止め、こちらへやってきて、俺のシャツの胸倉を掴む。
ミャ!と雪がびっくりして飛び跳ねた。
俺には散々暴行を働く癖に、雪に被害は及ばないようにしている所がこいつらしい。
全く、女らしくと何度言えば分かるのだか。
しかし、この女がなにやらアクションを起こすたびに雪は鳴いて、驚き両手を上げて見たり、足にじゃれ付いたり、笑って見えるから、楽しんでいると思う。遊んでもらっていると勘違いしているのだろう。無邪気な奴だ。
「わたしが期待してるですって?!馬鹿を言わないで頂戴!」
「安心しろ。アンタを襲う程飢えちゃあいない。俺にも選ぶ権利というものがある」
「わたしにだってあるわよッ」
「そんなに俺に発情するな。嬉しいのは分かるが。仕方がない、腕枕くらいしてやろう。サービスだぞ?有難く思え」
「だからアンタは人の話を聞きなさいよ!」



