「何飲んでんの?!」
「美麗パパに勧められてなぁ。あぁ、うまかったぞ?屋外で飲むビールってのは最高だ」
「そういう事を聞いてるんじゃない!何で車の運転があると分かっていて、お酒なんて飲むというの、と訊いてるの!」
「だから美麗パパに勧められてっつてるだろう。ほんっと人の話を聞かないな、アンタは」
ソファーに寝転び、雪を抱く。
その姿を前に彼女は仁王立ちで腕を組み、何故か怒り狂っている。
ふわふわの雪。お腹に抱いていたら、とても温かくて睡魔が襲ってきた。焦げた生姜焼きも中々旨かったし、そのせいだろう。 少しだけ、雪から美麗パパの加齢臭がしたが、そこは俺の良い匂いで上書きしておいてやろう。
それにしても猫が臭い物を好きだという噂、アレは本当だ。
だからきっとこいつは俺と美麗パパがいれば、あっちに行くのだ。そういう事だ。決して俺より美麗パパが上だという事ではないだろう。
…しかしそう考えたら、美麗より俺のお腹の方が好きだよな?それは美麗より俺の方が臭いという事か?まさかな?ありえないよ。女性と男性では匂いの種類が違うのだ。
「なー?雪?」
お腹の上でゴロゴロと両手を広げこちらを見つめる雪に問うと、雪は「そうだよ!」と言わんばかりにミャーと鳴いた。
そうか、そうか、やっぱりか。お前は本当に可愛らしいな。
「何勝手に寛いでんのよ」
あろうことか、足を蹴飛ばしてきた。
しかも、かなり本気で。その振動で雪がびっくりし、起き上がり美麗をジーっと見つめる。
こらこら、女の子が足なんか出しちゃいけません。雪もそう言ってるぞ?アンタは少し女らしくなれ。料理は大丈夫。何回か繰り返して行けば、きっと上手になる。
何て言ったって、アンタは美麗ママの娘なんだから。
そんな呑気な俺に対し、美麗が考えている事は真逆だったようで。



