【完】淡い雪 キミと僕と


「美麗ちゃんが料理を教えてなんて言ってくるのは初めてだったわぁー」

「そうなのか?」

「そうだっけ?」

嫌、アンタに訊いてるのだが?何故そこで疑問形。

そして何を一体惚けた顔をしているのだ。

しかしこいつときたら自分で作っておいて、焦げてるのは食べないで、美麗ママの作った綺麗な方ばっかり食っていやがる。

おいし~い!なんて声を上げているが、アンタの作ったのも中々。

香ばしいのも悪くはないんだ。



美麗の家で食事を終えて、美麗パパはよっぽど疲れたときたのか、飲みすぎかは知らんがさっぱり起きずに、勿論俺も野球観戦でお酒は入ってしまっているから、美麗の家まで美麗ママに送って貰う事にした。

車内でもよく喋る美麗ママのお陰で楽しかった。

日本の典型的なお母さんというのは、皆お喋りなものなのだな。

あっという間に家に着いて、お礼を言って、そして雪と美麗…俺。マンション内に入った時に、気が付いた。自分の車はマンション近くの有料駐車スペースに止めてある。

今日は彼女の家族がマンションまで迎えに来てくれたから。けれどそこで、重要な事に気が付いた。

「そういえば、俺帰れないな」

ぼそりと言ったら、美麗は「はぁ?!」と素っ頓狂な声を出した。

いや、冷静に考えて見てくれ。

さっきまで野球観戦をしていたんだ。そこでビールを飲んだ。6杯は飲んだ。

そうしてだ。美麗のマンションから車に乗って自宅に帰るという事は、飲酒運転になってしまう。

な?帰れないだろう?全然酔っぱらっちゃいないし、酒も遠に抜けているとは思う。でもそこは飲酒運転。もし捕まってでも見ろ。大変な事になってしまうではないか。