野球観戦が終わり、美麗ママが球場まで迎えに来てくれた。ご飯を作ってあるから、食べていけとの事だった。
家に帰って来て、飲みすぎた美麗パパはご飯も食べずに、いびきをかいてソファーで眠ってしまった。
そして俺の前に出されたのは、生姜焼きだった。一部分物凄く黒くなっているから、それを凝視していると美麗からクレームが入ったって訳だ。
彼女が料理をするなんて、思いもしなかった。
本人が料理は全くしない、苦手。と言っていたからだ。その証拠に3か月以上彼女の家に通い続けているのに、キッチンはいつだって綺麗なまんまだった。ただ単に使っていないという事なのだ。
「どうせ美味しくないでしょう?!無理に食べてくれなくて結構だから!
パパに食べてもらうもん!」
「アンタは被害妄想が過ぎる。確かに焦げているが、味は悪くない」
そのまま箸を進めて言ったら、美麗はまだ文句がありげにジトーっとこちらを睨みつける。
その様子を見て、美麗ママはクスクスと笑った。
「もぉ~、美麗ちゃんったら照れ屋なんだからぁ~。あんなに一生懸命作ったんだからぁ~」
「止めてよ!ママ!」
「いや本当に美味しいぞ?しかし、キャベツの千切りがこれじゃあ…千切りというよりかは」
「悪かったわね!!」
だから何をそんなに怒っていると言うのだろう。
不思議な女だ。
顔を真っ赤にしてみたり、怒ってみたり、なのに一口一口食べ進める俺の姿を心配そうに、はらはらとした瞳で見つめてくる。
とにもかくにも、美麗の作ったらしい少し焦げた生姜焼きは完食した。たとえ少し焦げ付いていようが、旨いものは旨いでいいのだ。
空っぽになった皿を見て、やっと落ち着いたらしく気分良さげに彼女はやっと自分の箸に手をつけた。
さっきまで顔を真っ赤にして怒っていたかと思えば、何やらニコニコして機嫌が良さそうだ。結構な事ではある。



