「お~雪、パパのお腹が好きかぁ~。本当にお前は俺のお腹の上で眠るのが好きだなぁ。
あんまり俺の所にばかりいるとママがヤキモチ妬くぞ~?」

「誰が、’ママ’よ」

「アンタだろ」

「やめてよ。それじゃあ、アンタとわたしが夫婦みたいじゃないのッ」

「おいおい、それは勘弁してくれよ」

「な、アンタが言い出した事じゃないのよッ!」

確かに雪の’ママ’になった気ではいたけど、アンタと夫婦なのは絶対にごめんよ。勘弁してくれ、はこっちの台詞だわ。

…でもね、わたしはやっぱりあなたに救われたと思うの。

雪を連れて来てくれて、井上さんに失恋した事は慌ただしい生活の中で段々と薄れて行って、笑える日が多くなった。

だから、少なからずあなたには感謝をしているし、僅かながら’情’っつーもんも芽生えてしまうものなのよ。

季節変わりゆく日々の中で、わたしの中であなたの存在が日々大きくなっていく事。

それはとても怖い。

だから、余りわたしのテリトリーには入り込んで欲しくないものだわ。

終わりの日は、やがて訪れるものだから。