【完】淡い雪 キミと僕と

「それは本音ですか?」

彼女の視線が再び挙動不審に動く。人の気持ちに敏感じゃないわたしにだって、あなたの気持ちは痛い程伝わってきた。

言葉を探すように、彼を好きじゃないという理由を探す彼女は、とても健気だったと思う。

「わたしは確かに…過去に世間で港区女子と言われるような事をしてきました。
琴子さんの言う通り、男漁りをしている尻軽女だったかもしれません」

「それはッ…。
あんな事言ってしまってごめんなさい…。
あたしはハルがあなたに憧れている事を知っていて…ずっとあなたの話を聞いていたから
だから、偶然あなたのSNSの存在を知って…ハルはすごく真面目な人だから」

「多分そのSNSは正真正銘わたしのもので間違いありません。
わたしは初め、晴人くんの事を真剣には好きではなかった。…むしろ、ちょっと遊んでやろうっていうような気持ちがあって
だからそれに関しては、彼に対して謝らないといけない事が沢山あります。
けれどわたしは…彼と時間を重ねていくうちに、あの人の誠実さに触れて、段々と彼を本気で好きになっていきました。
男をお金と地位でしか見てなかったわたしを変えてくれたのは紛れもなく晴人くんだったと思います」

「そう、ですか…」

もう自分の醜い本音を隠そうとは思わなかった。全てを知ってもらった上で、彼女に知っておいて欲しい事があったのだ。

「あのー…
山岡さん何を勘違いしているのか分からないのですが…
あたしは全然ハルの事を何とも思っていません。男としてなんかこれっぽっちも見ていませんから
それに何度も言うようですがわたし達の間に男女の関係というのは一ミリたりともありません」

「けれど、晴人くんは…ッ!」

そう言いかけて、それを遮るように琴子さんは小さく笑って、話し出した。