自分でも嫌になるくらい
井上さんの事を諦めきれない自分がどこかにいた。
だから彼に会社で会ったらそれとなく彼女との進展を聞いてしまったり、応援してる振りをして最低ね。
いいの、想いを伝い合わなくって。
そのまま、互いの気持ちに気づかぬまま時間が流れて行ってくれたとしたら、わたしにもまだチャンスがあるかもしれない。
そうやってどこまでも未練たらしい自分に、うんざりするのだ。
けれどもどうしても止められない気持ちがこの世にあるのだと知る。
そしてわたしは、彼に二度目の告白をしてしまうのだ。
あれは5月の事だった。とても温かい日が続いて、それでも会社で見かける彼は1日1日浮かない顔が多くなっていった。
理由は明白だった。彼と琴子さんの同居は1年と約束づけられた事だったらしい。そして、その1年を迎えようとしていた。とある、春の日。
その日もたまたま井上さんとエレベーターで一緒になった日だった。
何気なく琴子さんの事を聞いたら、彼はまた曖昧に笑って、彼女が自分の事を’大切な人’だと言ってくれた、と言う。
それって答えじゃんと思ったが、続けて’大切なお兄ちゃんみたいな存在’だってと落ち込んだ風に肩を落とす。
だからどれだけ素直なのよ。その言葉をそのまま受け止めるんじゃないっていうのよ、とは言葉にしなかったけれど。
そして彼女は驚く事に井上さんとわたしがお似合いだと思うと言ったらしいのだ。それには開いた口が塞がらなかった。



