「中学校はセーラ服だったの、美麗ちゃんは嫌がっていてね、スカーフの水色が気に入らないって言っていて」

「言ってたなぁ。でも美麗は中学の時から勉強もスポーツもよく出来て、クラスでも人気者だったもんな」

「そうなんですねぇ。いやあ、本当に可愛らしい。
これはどこか旅行に行った時の物ですか?」

「そうそう、沖縄に初めて行ったんだよ。でもこの時の美麗は反抗期で、パパとは口を利きたくないッ。って。
俺、あの時はショックだったんだよなぁ~」

「アハハ、だからお父様との距離が離れていらっしゃるんですね。
でも楽しそうで羨ましいです。色々な所に行ったんだなぁって」

「大輝くんの方こそ、両親とは色々な場所に行ったんじゃないのかい?
俺たちとはきっとレベルが違うような所に行ってたんだろうな。海外とか、羨ましいねぇ」

「いえ、自分は…両親とは余り旅行に行った記憶がないんです。小さい頃に1回行ったきり…。それも記憶が定かではないほど幼い時で
父は仕事が忙しかったし、母は子供の頃から体が強い人ではなかったので…」

「そう、なの…」

「もう!パパとママったら話過ぎ!西城さん、困ってるじゃない…。」

西城さんの前で、余り両親の話をしないで欲しい。そりゃあママとパパは彼の事情を知らないから悪気はないんだろうけど…。

わざわざ彼の幼いころの傷を思い出させるような話をしないで欲しい物だ。

それでも西城さんは「ふたりの話を聞いてるのは楽しいよ」と言ってしまうもんだから、ふたりはパアッと顔を明るくして、次は高校時代の話が再び始まる。