【完】淡い雪 キミと僕と

「まぁ、菫さんとは上手くやってくれ。
ところで、お母さんの具合いはどうだ?」

「それはあまり……実家にも帰っていませんし、父からも母の話は聞かないので…
でも入院していると思いますが…」

「そうか、お前にばかり苦労をかけてすまないな。あいつらが不甲斐ないばかりに」

「いえ、母の体調の事は昔のからの事ですので、それに僕ももう大人なのでさっして気にはしていません。
時間が空いた時にでもお見舞いにいっておきます」

「あぁ、頼む」

母親の具合いはきっと良くはないだろう。

心の病に根本的な治療薬はなく、根底の問題を解決しないとどうにもならない。きっとこの先も完治する事はなく、入退院を繰り返し、そのうち死んでいくだろう。

冷たいと思われるかもしれないが、もう母親の愛情を求める程幼い子供な訳ではなかった。

考える事は沢山あった、仕事の事、新しい事業提携の事。…そして、自分の将来について、か。

正直面倒くさい。

誰と結婚しようが、そこに自分の選択権がないのならば、勝手にしてくれと言った感じなのだが、俺は菫と面倒なデートを重ねて、恋愛ごっこまでしなくてはいけないのだろうか?

結婚すると義務付けられてるのならば、そういった面倒な事は抜きにしてほしいものなのだが、そういう訳にもいかないんだろう。

最近は仕事も忙しく、中々雪に会いにもいけていない。

美麗は「実家で預かってもらえるからいいのよ」とは言ってくれたのだが、それじゃあ余りにも申し訳なさすぎる。

あくまでも、雪は自分の猫なのだから。