「琴子さんにも悪い事をしたと思っている。わたしは今日やっぱり行くべきではなかったのよ。
彼女に嫌な思いをさせてしまったし、周りの空気も悪くしてしまった。
振られたのならば振られたで潔く諦めていれば良かったものの、のこのことこんな場所に来てしまって、今は後悔しているの」
「いや、アンタは悪くないと思う。それに琴子のアレは嫉妬からきた言葉であって、本心ではない。
庇うつもりはないが、本来はああいう子ではない。俺から詫びるよ。
琴子は悪気があった訳ではない。けれど、アンタはもっと悪くない」
ふっとこちらを覗きこみ、泣きそうな笑顔を彼女はまた浮かべた。
「優しいのね、案外」
案外は余計だ。
1番悪いのはあの男だ。無神経にもほどがある。あの男はもっと苦しめばいい。
けれど、君や琴子が苦しむ事ではない。
「今日行くべきではなかったなんて悲しい事を言うな。
少なくとも俺は…結構楽しかった。女の醜い争いも見れたし、お花見なんざ庶民の戯れにしか過ぎんと思っていたが
青空の下、バトミントンで汗を流すのも悪くはない。汗を流し化粧を落としながらもシャトルを追いかけるアンタの顔は近年稀に見るほど不細工で笑えた、しな」
「ふふ、ありがとう。優しいのね、やっぱり。慰めてくれてるのは分かるから、今回ばかりは最後の言葉は聞き流して置いてあげる」
紛れもない、本音だった。
’結構、楽しかった’
何もない休日に琴子に会えるのは勿論嬉しかったが、バトミントンで本気になって髪を振り乱しているアンタは、化粧もボロボロだったが悪くはなかった。
本気でそう思ったのだ。だから素直に誘ってくれた事は感謝している。
――――
―――――



