【完】淡い雪 キミと僕と


井上晴人と琴子の友人である、佐伯優弥とその彼女であるユカリさん。

彼女のユカリさんはジトーっと人の全てを見透かすような目で見てくる、やたらと気の強そうな得意な部類の女ではなかったが、その彼氏である佐伯さんは中々に話しやすい人だった。

一度だけ、夜更けのカフェで会った事がある。

それを彼もよく憶えていてくれて、あれやこれやと気を遣い話題を振ってくれた。でくの坊の井上晴人よりかはよっぽど出来るような男にも見える。

場の調整がとても上手く中間管理職向きだな、と考え、うちの会社にいてくれたら便利だなぁ等と思っていた。

社会人として話題豊富な彼と話すのはつまらない花見の中でも中々楽しかった。

対して井上晴人ときたら、ヘラヘラにこにこ笑い、時たま相槌を打ちながら聞き役に徹している。

俺へは一切目を合わせなかった。まぁ当然といえば当然か。彼が最も苦手とするタイプの男だろう、俺は。



庶民の戯れ、と言った感じで始めは馬鹿にしていたお花見だったが、真昼間から陽を浴びるのは気持ちが良いし、井上晴人と琴子が作ったお弁当は中々だった。

バトミントンは、それを用意したユカリさんと美麗のふたりがやたらと上手で、男性陣はついていけずに息を上げた。

それでも美麗はとても楽しそうに活き活きしていた。少なくとも、港区にいる時よりはずっと。

何故か俺と美麗。井上晴人とユカリさんのダブルスでの勝負になっていた。

こういう時いっつも1番にノリノリになりそうな琴子は何故かおとなしく、木陰でビールを飲みながらこちらを羨ましそうに見つめていた。