「うわぁ~話に聞いていた通り~可愛い~。
飲み会の時はあんまり覚えてなかったんですけど
可愛い~」
どうやら女というのは思っていない事を平気で口に出来る生き物らしい。
全く心のこもっていない美麗の言葉に琴子も気づいていただろう。頬を小動物のようにぷくっと膨らませて、拗ねた素振りを見せる。
琴子は実に感情表現が豊かな女だった。
嬉しい時は豪快に笑い、楽しくない時はあからさまに不機嫌になる。もう少し大人になれよ、と思う時もあるけれど、そんな素直な所も彼女の好きな所のひとつだった。
大して美麗は一切笑顔を崩さないまま、琴子へ微笑みを落とす。こいつもこいつで感情表現は中々豊かな女のだが、強情なのだろう。
「琴子、なんつー顔してるんだよ。
ブスがますますブスになってるぞ?
それにしても美麗ちゃんよくも思ってもいない事を口に出来るね」
計算されつくした作り笑いが、ぴくりと動くのを、見逃しはしなかった。
これはキャットファイにでもなるのではないかと思ったのだが、事の発端である井上晴人は呑気に笑っていた。どこまで鈍感な男かと苛々してしまう。
自分が好きな女と自分を好きな女。そんなの双方良い気がするわけない。少し考えれば分かる事だろう。
琴子も美麗も揃いも揃って、何故こんなにもデリカシーに欠けている男が好きなのか理解に苦しむ。そんな天然な所も彼の魅力なの、とどちらかが言い出しでもしたら、寒気が止まらない。琴子がどうかと言う前に、嫌いなタイプの男なのだ。こういった周りを客観的に見れない鈍感な男は



