友理奈の身体を抱きしめると、それはとてもか細く、だが温かい。人の温もりというのは何故こんなにも温かく、深くまで浸透していくのだろう。
だからどこまでも人は独りなのだと言えるんだ。
温もりを共有できたと思っても、突き放せば熱は徐々に冷めていく。残されるのは、冷えて固まった心と身体だけ。
それでも何度も求めた。
彼女に口づけをし、ベッドに押し倒しシーツの波に吸い込まれていけば、ひと時は誰かと繋がって、独りではないと錯覚出来るから。
だから俺は、女を抱くのだと思う。何人も、何の生産性のない行為だったとしても、それはそれで構わない。
政略結婚だとしても、そこに愛情が芽生えない訳ではないと思う。
会社同士の繋がりと、人間同士の繋がりは切っても切り離せない。そうやって幸せそうに笑う夫婦を何人か知ってるし、間違ってはいないとも思う。
愛情は時に時間を重ねるごとに大きくなっていくものかもしれないから。それに理解っていた。自分がそういう星の下に生まれた人間だという事も、幼き頃から痛い程言い聞かされてきたのだから。
けれども父と結婚した母は全く幸せそうではなかった。俺を授かってからも、ちっとも幸せそうではなかった。
もしもそれが運命だと言うのならば、それに抗うつもりはなかった。抵抗ひとつも無駄な事。そうやって諦めて自分に言い聞かせてきた。
それでも過去に、その運命にさえ抗い、西城グループの名を捨ててでも一緒にいたいと思った女性が確かにいた。



