「わたし、おばあちゃんかよ…」
「でも俺のおばあちゃんはもっと綺麗だったけどな」
「何よッ!」
「アハハ、でもまぁ…美麗ちゃんは小さな子豚と小さな小娘を脅す、そんな優しい家庭に育ってきたんだなぁって羨ましくはあるよ。
アンタはきっとそんな家庭で育ってきたから、ちゃんと愛される事も分かってるし、愛するって事も分かってるんだと思う。
だから雪をこんなにも真っ直ぐに愛する事が出来るんだ。生憎それを俺は持ち合わせていない」
どこがだってのよ。
わたしはアンタが思っているよな女じゃない。
それにアンタ自身も、アンタが思ってるような人間ではないわ。
だって雪は、あなたが引き取ってきた猫じゃないのよ。
そしてその雪は、あなたを愛している。
あなたは素敵な人よ。
それを伝えるには言葉は不便すぎて、そして照れくさかった。
だから西城さんを前にして、両手を大きく大きく拡げた。彼が、わたしを抱きしめてくれたように。
その姿を見て、また彼は変な顔をした。



