「おばあちゃんだけが、俺の想い何ひとつ否定しなかった。
けれど、小学生の低学年の時病気は悪くなる一方だった。病院にいる日が多くなった。
それでも学校帰りに毎日のようにお見舞いに行くと、いつだって笑顔で迎えてくれるんだ。その顔を見て、おばあちゃんは生きてるってホッとして、きっと死なないって何を根拠に言えたのか今にして思えば分からんのだがな
でもある日突然、家族が病院に呼ばれて…な。大人の話なんて理解出来ていたかは分からんのだが、もうおばあちゃんが駄目だっていうのは子供ながらに理解出来た。
そうして、俺は……俺は、あの時のアンタみたいに周りの大人に何度も問うんだ……
’死ぬのッ?!死んじゃうのッ?!’って何度も何度も…難しい顔をしてる大人たちに、必死に泣いて…声が枯れるくらい泣き続けて
おばあちゃん、死んじゃうの?!て………」
そこまで話して、西城さんは苦しそうに声を詰まらせた。
目を閉じて、眉間をしかめながら、右手をそこに添える。
一瞬、泣いてるのかと思った。
でも、彼は泣いてはいなかった。ぐっと眉間に皺を寄せるそのさまは、涙を堪えているかのようにも見えたのだが。
「子供って馬鹿だから…、神様にお願いするんだ。神など、この世にはいないって分かっているのにな…。
サッカーボールも飛行機の玩具も全部全部あげますから、おばあちゃんを助けてくださいって…
僕はもうご飯も食べないし、寝ないし、楽しい事全部なくっていいからって、無茶苦茶なお願いされたって、神様だって苦笑いだろうとは今になって思うよ。
それでも願いは叶わずに、容体が急変して朝方にはあっさりと亡くなった…。
あぁ……母親は葬式にも参列しなかったなぁ…」



