「ココは前までは結構だらしねぇ女でなぁ。まぁこの職業にはありがちな女だったけど、家賃滞納したり、ホストにも行ったりしてその日稼いだお金は全部使い切ったり
でもある日を境に人が変わったように真面目になったなぁ。あいつ変わったと思う。確か引っ越して猫を飼いだしたとか…
猫ってのはそんな不思議な力があるもんかねぇ。犬派の俺には全然あいつの気持ちは分からんが、まぁ今までのココを知っているから、いい方向に向かってくれて嬉しいもんだ」
強面で、見た目は全く持ってヤクザにしか見えない男だが
女を商品とし、売り物としか見ない経営者が多い中で、隼人はほんの少し違って見える。
風俗から女が上がる時は、困った困ったなんて言いながらも嬉しそうで、風俗とは長くいる場所ではない。といつだって言ってた気がする。
怖い見た目に反して、優しい奴なのだ。
琴子がこの時に飼っていた猫の名前は’琴音’
何だよ、何自分と一文字違いの名前を猫になんかつけてんだよ、と初めは思ったものだが
正確に言えば、この琴音猫は琴子の飼い猫ではなかった。
彼女には同居していた男がいた。
名は’井上晴人’しがないサラリーマンで、どこか冴えない男。
そして、俺が井上晴人と出会うのも、美麗の想い人だと知るのは、もう少し先の話だ。
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