【完】淡い雪 キミと僕と


会う回数を重ねていけばいくほど、ちっともタイプではなかったが
出会うはずはなかった世界にいた彼女を好きになっていく自分がいた。


本音を言ってしまえば汚い言葉しか思い浮かばないのだが

俺は彼女の小さな体を抱きしめたかったし、裸になって、キスをしたい。デリヘルでするような用意されたプレイではなく、普通の恋人同士がするようなセックスをしたかった。

ハッキリとそう告げたら、彼女は不思議な顔をして、それってあたしにソープ嬢になれって事?と惚けた事を言い放ちやがった。


阿保か。とは思った。

これだけストレートな言葉で伝えても伝わらないなんて、相当の天然なのだと。

確かにソープ嬢になれば、本番行為も出来る。けれど俺が彼女に伝えたかった事はそういう事ではなくて、でもそういった自分の中で芽生えた初めての感情を人に伝えるのは苦手なのだ。

この感情の名前が初めは分からなかった。今にして思えば、使い古された言葉で、ただただ俺は彼女に恋をしたのだ。



我儘を言って、ただ駄々をこねる子供になってしまいたい程、恋い焦がれた人だったと思う。

幼き頃から、欲しいものは何でも手に入れてきた。手に入らない物など、この世にはない。本気でそう思っていた。それは大人になっても変わらなくて

自分が欲しいと思った女は、全て手に入った。最低な話だとは思うけど、手に入っても、子供が玩具に飽きて捨ててしまうように、手に入れては捨ててきた。

そんな事を繰り返すたびに、これは本当に自分の欲しかった物ではない、と痛感する。それでも求める、何度も嫌になるくらい。そのうちいつか自分が本気で心から、手を伸ばしたくなるほど欲しい物と出会える日まで。