【完】淡い雪 キミと僕と


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’何?猫好きなの?’

’うん!!うちの猫の写真見る?!
超可愛いんだよぉ!!’


デリヘル嬢ココ―高橋琴子は愛猫家だった。

見せてくれた携帯の画像の中で、焦げ茶色したえらく毛の長い猫が、クソ生意気な顔をしておすまししている。

動物なんて何も役に立ちやしない。それどころか足手まといで、自分で食事も用意出来なきゃ、トイレ掃除もしやしない。そんな足手まといを何故愛でて面倒を見るのかがいまいち理解に苦しむ。

でも彼女はコロコロと動く表情で、’癒し’であると力説した。汚くて臭い生き物が癒し?ちょっとだけ笑えた。猫を抱いているより女を抱いている方がよっぽど癒しになる。気持ちはいいし。


けれど、琴子という女は不思議な女だった。

見た目は今時で、派手で軽そうで馬鹿っぽい。特別美しくもなかったし、気の利いた事を言えるような女でもなかった。

初めは全然タイプではなかった。

俺は馬鹿であってもスタイルが良くて、顔も綺麗な女が好きだったから。同じ馬鹿なら、綺麗な方がお得感つーもんがある。


彼女を抱く気にはなれなかった。

欲望を吐き出すだけならば、そういった女は電話1本ですぐに手に入ったから。

それでも俺は琴子に出会って、隼人の経営するデリバリーヘルス「リップス」を頻繁に利用するようになった。週の半分。疲れがたまったと思えば、いつだって呼んだ。

しかもその殆どをロングコースで、ほぼ貸し切りなのだ。その時間を思い思いに過ごす。とりとめのない話をしたり、同じ空間で互いに違う事をしたり、気が付けば眠ってしまう事だってあった。


女と一緒にいて、安心する気持ちになるのは、今になって思えば初めての経験だった、と思う。