「ねえ佳宏。私達 いつの間にか 親になっているね。」

ベッドの中で、美咲は言う。
 
「どうしたの、急に。」

佳宏は 優しい笑顔で 美咲を見る。


「うん。さっき詩帆ちゃんと話していて 佳宏 パパの顔 していたから。」

美咲が言うと、佳宏は笑う。
 

「子供達に、親にしてもらっているね。」


佳宏の言葉に、美咲は頷く。
 

「何かさ 毎日 手探りで。私 夢中だった。」


美咲が言うと 佳宏は 美咲の首を抱き寄せた。
 


「美咲は 良くやっているよ。二人とも 素直な良い子だよ。」

佳宏の胸に 顔を埋めて、美咲は フッと息を吐く。
 


「私 30才過ぎまで 自分のことでいっぱいで。今思うと 馬鹿みたいだったね。」

美咲の背を、佳宏は優しく撫でる。
 

「俺だって同じだよ。でもさ 美咲と子供達が 俺に自信をくれるんだ。」


佳宏の言葉に 美咲は涙が滲んでくる。
 


「本当に?」


美咲は顔を上げて 佳宏を見つめる。