「美咲、ちょっとここに来て。」

佳宏は、美咲を 自分の椅子に呼ぶ。


佳宏の 足の間に座る美咲を 佳宏は後ろから 抱きしめる。
 


「美咲 仕事始まったら 忙しくなるね。でも 俺も手伝うから 美咲 一人で頑張らないでね。」


佳宏は 美咲の肩に 顔を寄せて言う。


美咲の心に 甘い感謝が満ちてくる。
 


「ありがとう 佳宏。私が手抜きしても 怒らないでね。」


美咲は 佳宏を見上げて、笑いながら答える。
 

「怒らないよ。それに 無理だと思ったら、いつでも 仕事辞めていいんだからね。」


美咲が 仕事を続けると言った時から、佳宏はそう言っていた。

佳宏の収入でも 十分 豊かな生活ができる。
 


「そうだね。詩帆ちゃんが 最優先だよね。」


家族の為の仕事が 家族を壊したら何にもならないと 佳宏は言っていた。