詩帆を連れて 退院した美咲。

実家の母が来て、家事を 手伝ってくれた。


美咲は 夜中に何度も起きて 授乳をする。

佳宏を 起こさないように、母と一緒の部屋で寝た。
 


一週間後、母が帰り 家族三人の生活が始まる。

でも美咲と詩帆は、そのまま 佳宏と別の部屋で眠る。
 

「ねえ、美咲。こっちで寝たら?」

佳宏は 言ったけれど、
 
「詩帆ちゃん、何回も起きるから。佳宏も 起きちゃうよ。」

美咲は 佳宏を心配して言う。
 

「いいよ、起きても。」

珍しく、佳宏は食い下がる。
 
「うん。でも私は、昼間眠れるけど 佳宏は仕事だから。」


この時、佳宏に従って 一緒に寝ていれば 変わっていたかもしれない。


二人 別の部屋で眠った時間が、美咲の心を 離してしまったと 後になって 美咲は思った。