「来たか」
玄関には、裏の世界へ進むと言った人たちが身支度を整えてそこにいた。
…やっぱり、こういうことだったんだ。
「分かってきたのか?それとも直感か?」
「からってます?」
「それも分かってきたか」
悪い顔をする平沢さんにため息をつく。
必要最低限の荷物をまとめてるように見える。…あと、人数もちょっと少ない?
「少なくないですか?」
「先に何人か向かわせてんだ。合流先でな」
「そうなんですか…」
「琴音」
声をかけられたと同時に肩にかけられた物を思わず手で押さえる。振り返り様に頭を撫でられた。
「いないからビビった」
「季龍さん…」
季龍さんの荷物も、リュックサック1つだけ。ずっとここで生活してきたはずなのに…。


