私のご主人様~ifストーリー~


梨々香ちゃんの体を抱き締め返すと、堪えきれなくなった嗚咽が漏れてくる。

「私もありがとう。本当の妹ができたみたいで嬉しかったよ」

「…うんっ。……お兄ちゃんのこと、お願いね」

「…うん」

更に込められた力に応えると、梨々香ちゃんはそっと力を抜く。

それに合わせて離れると、涙を流しながらも、梨々香ちゃんはとびっきりの笑顔を見せてくれた。

梨々香ちゃんは続け様に季龍さんに飛び付きに行く。

そんな様子を見ていると、琴音と呼ばれて振り返ると、複雑な顔をした暁くんがいた。

「お前、本当に行くんだな」

「…うん。…暁くん、ありがとう」

「あぁ。…元気、でな」

「暁くんも、元気でね。…ずっと、一緒にいてくれてありがとう」

笑顔を向ける。でも、暁くんは笑ってくれなくて、何かを迷った顔をしたままだった。