「…さてと、とりあえず準備しろ。いつでもここを離れられるように。…話したい奴がいるなら、寝る前には片付けとけよ」
平沢さんは、最低限そう言うと早々にお開きにする。
誰もその言葉に困惑することはなく、足早に広間を出ていってしまった。
「琴音、ちっとは醒めたか?」
からかうように笑った顔を隠そうともせずにやって来た平沢さんに思わず苦い顔をする。
正直、頭はガンガンと殴られているみたいに痛いし、胃はムカムカして最悪だ。
でも、裏社会でお酒は付き物…ですよね。
「飲めた方がいいんですか?」
「そりゃあな。お前自身の身を守るためにも、飲めたことに越したことはねぇよ」
「いや、平沢さん。あの酒はきついですって。あれを一気に煽っちゃったんでしょ?しょうがないよ」
「奏多、甘やかすために連れてくわけじゃねぇんだぞ」


