私のご主人様~ifストーリー~


男は表情を変えない。

「なーんだ。気づいてたか」

そう言いながらも、気づいて当然と言わんばかりの態度に更に頭にくる。

「それだけじゃないよな」

もう1つ、多分お袋自身も気づいていなかったこと。

社会人になって、感じた違和感。

これは証拠があるわけじゃない。だが、俺自身の件と合わせても偶然じゃないと思う。

「俺がガキの頃から、いや、お袋が俺を腹に抱えて出て行ってから、あんたは俺達の生活を支えてくれてたんだろ」

「どうしてそう思う?」

まるで試されてるようだ。

男は否定も肯定もしない。

「お袋の在宅ワークは、今でこそ1つの就業形態だ。でも、少なくとも30年前じゃ、珍しかった。
それに、赤ん坊抱えてちゃ、出産後すぐに仕事につくことは出来ないだろ。少なくとも、俺が保育園に入るまではお袋は就活もままならなかったはず。
それに、お袋のパソコンスキルがどこまでなのか、はっきり知らねぇけど、在宅ワークのみで俺を大学まで余裕で通わせてくれるだけの仕事を運良く見つけれたと考えるのは、都合が良すぎると思う」