今度こそ背を向け、足を進めた。
振り返らない。お袋とのケジメはつけられた。
これからは、俺自身が進まなければ。
「よー、親孝行息子。送っててあげようか」
離れたところでかけられた声に顔を向けると、屋敷の前で声をかけてきた男がいた。
わざとらしくおちゃらけた様子に、何となくいらっとするのを自覚する。
「遠慮します。あんたも、ヤクザなんだろ?」
「まぁ、そうなんだけど…」
歯切れの悪い返事。
…俺から切り出すか。
「聞きたいことがある。俺の行動をずっと追ってたのは、あんただろ?」
この男ではなかったとしても、確信していることがある。
お袋を探す中で、俺の心境に合わせるかのように分かっていった情報。
偶然なんかじゃない。
俺は、俺がお袋を恨まず、失望しないタイミングで、お袋が偽名だったことを知り。
俺がお袋と良好に別れを告げられるタイミングで、お袋の居場所を知った。
明らかに誰かにコントロールされていた。


