よかった。
お袋が、幸せならそれでいい。
お袋の隣に立つ父親を見つめる。
「お袋、泣かせんなよクソ親父」
「…あぁ」
癪だけど、親父だって認める。正直、ここまで似てたら認めざる負えなかっただけだが。
息をつく。
両親の姿を目に焼き付けた。
「じゃあな」
背を向け、駅に向かって歩き出す。
二度と通ってはいけない、二度と訪れてはいけない。
そう、言い聞かせながら足を進めた。
「…ッ焔!」
お袋の声に思わず振り返る。
お袋は、親父の手から離れ、自力で立っていた。
「っ………、焔、いってらっしゃい」
言いかけた言葉を飲み込み、十分に悩んだ上でかけられた言葉に思わず目を見開いた。
…お袋らしいのかもしれない。
「いってきます。…お袋、俺あんたの息子でよかったよ」
「っ!!…うん、うん!生まれてきてくれて、ありがとう!」
お袋は泣きながら、最後には笑顔を浮かべた。


