お袋が姿を消したことを、不謹慎で申し訳ないと前置きをされた上で、ホッとしたとこぼした祖父。
お袋が自分の幸せを優先した行動を選んだのは、相当勇気がいるものだっただろうと。
お袋は、ずっとストレスを抱えて生きてきて、頑張らなくてもいいところでも頑張り続けていた。
やっと、やっと穏やかに過ごせると思った矢先にそれまでのツケを突きつけられてしまった。
なんでだよ、お袋は幸せになってほしいのに。
俺を置いてでも、親父の傍に行きたいと願った、お袋のわがままがやっと叶ったはずなのに。
黙ったまま、眠っているお袋を見つめていると、不意に瞼が揺れる。
「…ん?きりゅう、さん?」
寝ぼけてる。
俺を見ながら父親の名前を言ったお袋は、身を起こしのんきにあくびしてる。


