案内してきた男の言葉に、父親は、一巡したのち、招き入れてくれる気になったようだった。
「ごゆっくり〜」
案内してきた男は、これ以上入って来ないらしい。
一応会釈して、父親の後を追った。
父親は何も言わず、足を進める。中に呼びかけながら襖を開け、俺に入るように促した。
「琴葉。…琴葉」
親父の呼び掛けにも、反応しない。
1つだけ敷かれた布団に横たわっていた女性の姿に正直ショックを受けた。
真っ白な髪のせいなのか、年齢よりも年重に見える。
父親が傍らに腰掛け、お袋の頭を撫でる。
「琴葉、焔が会いに来たぞ」
「…」
目覚める気配が一切ない。
どうして…。
お袋のあまりの変化に呆然としていると、起こすことを諦めたらしい父親が、俺に視線を向けてきた。


