「……わ、か?」
随分呆けていたらしい。
ふと耳に届いた声に釣られて視線を向けると、愕然とした顔の男がいた。
男は我に返ると、俺の姿をマジマジと見つめたあと、ニヤリと笑う。
「葉月焔?」
フルネームで言い当てられる。
俺のことを知っているらしい。
無言で見つめていると、男は屋敷の方へ歩いていく。
「会いに来たんでしょ?ついておいでよ」
見透かされているようで気分が悪い。
それでも、どうやって入ろうか悩んでいたところだ。向こうから招いてくれるなら、好都合だ。
男の後について、屋敷に足を踏み入れる。
この男もそれなりの立場があるんだろうか。玄関を開けると中から数人顔を出して挨拶していた。
「っえ…」
そして、俺に向けられる視線は同じ。
誰もが目を疑っている。誰かと見間違えるように。


