あくまで突きつけられた事実は、それ以上でも以下でもない。
その事実を聞いたとき、驚くほど冷静でいられた。
それは、心構えを知らずしらずのうちにしていたからだと思う。
俺は、無意識に、無意識のうちにお袋のことを疑っていた。
お袋が消えた直後こそ、お袋が事件に巻き込まれたと信じていた。
でも、時間が経過するほど、探偵に調査を断れるほど、その考えは徐々に薄れていった。
心のどこかでお袋を疑い始めた。
そんなタイミングで、お袋が偽名で生きてきたことを知らされた。
まるで、俺の心境が変わるのを待っていたかのようなタイミングだった。
お袋が偽名だと分かった時、お袋は俺との再会を望んでないと直感した。
それがわかった上で、お袋に会いたいという気持ちは変わらず、探偵に調査の続行を依頼した。


