「もう、大丈夫なのか」
誰がという問いはあえて伏せられたんだろう。
まぶたの裏に焼き付けた息子の姿を思い返し、微笑んで見せた。
「えぇ、そう判断したからけじめを付けに来ました」
「そうか…。後悔は、ないな」
念を押される言葉に、詰まりかけた息をつなぐ。
「後悔はしていません。今も、昔も。私が決めた道に後悔はしていません」
はっきりと、断言する。
私が、自分で決めて進んだ未来に後悔はしていない。
それは、本当のことだから。
「なら、組長の娘として、お前には俺の後継者と籍を入れてもらう。それがけじめだ」
「はい。お父さん」
元からそう言う話だった。
20年近くその話を保留にしてもらってきたんだ。今さら何の未練があるだろう。
いや、私はいいとして、相手はいいんだろうか。年齢的な魅力は昔には及ばない。


