「随分、頼もしくなって来たな」
久しぶりの声と、かおってきたタバコのにおい。
振り返ると同時に頭に手を置かれた。
「お父さん、ただいま戻りました」
「…あぁ、おかえり」
平沢さんは、随分白髪が増えたけどまだまだ現役を感じさせる。
騒ぎに駆けつけてきてくれたのかな。肩に羽織もかかったまま。おまけに少し寝癖がついていた。
「話を聞かせろ」
そう言いながら部屋に戻っていこうとするお父さんの背中を追う。
記憶の片隅にある部屋の位置と変わらないところに通されると、お父さんは定位置なのだろう、掛け軸の前に腰かけた。
「どうぞ」
見たことない人が慌てた様子で座布団を持ってきてくれる。ありがたく受けとると、恐縮されてしまった。


