玲奈が縄を解こうともがくたび、ギシギシとベッドが軋む。縄で縛られた手首が擦り切れ、血が滲むのがわかった。

玲奈は、感染症研究センターに見学に来た時、こっそり洋一の個室を見てしまった。そこで見たものに玲奈は彼が自分の恋人たちを殺した犯人だと確信し、洋一に電話をかけたのだ。

「夜遅くにごめんなさい」

「はい。どうされましたか?」

「もしかしたら、センターでイヤリングを落としてしまったかもしれないの。母からもらった形見で……」

「それは大変ですね!」

「今からそちらに探しに行ってもいいかしら?」

「ええ、構いませんよ」

玲奈はギュッと拳を作り、覚悟を決める。透たちに置き手紙を残した後、感染症研究センターに足早に向かった。

「ごめんなさい、こんな夜に」

門を開けてくれた洋一に玲奈は作り笑いを浮かべる。彼は「いえ、全然気にしていませんよ」と笑ってくれた。

そして、イヤリングを探すフリをして玲奈はこっそり洋一の個室に忍び込んだ。イヤリングを落としたというのは、全部嘘だ。